タルトを焼いたら、生地の側面が下がってしまった。型に沿わせてきれいに敷き込んだはずなのに、焼き上がると縁が低くなり、予定していた形にならない。
タルト作りで起こるこの現象には、生地の性質と、成形から焼成までの扱い方が関係しています。
現場のパティシエなら、まず確認するのは「生地を作るときに、どれだけ負担をかけたか」です。
タルト生地には、サブラージュ法やクレメ法など、いくつかの製法があります。製法は異なりますが、どちらも生地を必要以上に練ったり、伸ばしたりすることで、焼成時の縮みにつながる場合があります。
その理由のひとつが、小麦粉に含まれるたんぱく質です。
小麦粉に水分が加わり、混ぜることでグルテンが形成されます。グルテンには伸び縮みする性質があるため、生地を強く練ったり、何度もめん棒で伸ばしたりすると、生地に弾力が生まれやすくなります。
この状態で型に敷き込むと、焼成中に生地が元の状態に戻ろうとし、側面や底が縮むことがあります。
次に重要なのが、敷き込み後の休ませ方です。
生地を伸ばすときには、少なからず力が加わります。そのため、型に敷き込んだ直後の生地には、伸ばしたことによる緊張が残っている場合があります。
すぐに焼くのではなく、冷蔵庫で休ませることで、生地を落ち着かせ、バターを冷やし固めることができます。ただし、休ませれば必ず縮まないわけではありません。生地の作り方や状態によっても結果は変わります。
また、型への敷き込み方も見逃せません。
型の角に生地を押し込むとき、無理に引っ張って伸ばしていないでしょうか。生地を引っ張った状態で型に沿わせると、焼成中に縮みやすくなります。型の角まで生地を自然に密着させ、余分な力をかけないことが大切です。
現場のパティシエなら、タルト生地が縮んだとき、休ませる時間だけを増やすのではなく、生地を作る段階から振り返ります。
生地を練りすぎていなかったか。めん棒を何度もかけ直していなかったか。型に敷き込むときに引っ張っていなかったか。そして、焼成前に生地が十分に落ち着いていたか。
タルト生地の縮みは、オーブンの中だけで起こる問題ではありません。
生地を作る、伸ばす、型に敷き込む、休ませる、焼く。それぞれの工程がつながっています。
きれいなタルトに仕上げるためには、生地を無理に型へ合わせるのではなく、生地に余計な力を残さず、自然な状態で焼成に入ることが重要です。


