「三大栄養素って聞いたことはあるけれど、何が三大なのか分からない」
「糖質と炭水化物って、同じものじゃないの?」
「脂質は健康のために控えたほうがいいの?」
栄養について調べ始めると、このような疑問が出てくることがあります。
実は、私たちが普段食べている食品には、さまざまな栄養素が含まれています。
その中でも、まず知っておきたいのが「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」です。
この3つは「三大栄養素」と呼ばれています。
そして、この三大栄養素は、私たちの食生活を考えるうえで基本となる栄養素です。
ただ、ここで一つ注意したいことがあります。
今回のタイトルでは「糖質・脂質・たんぱく質」としていますが、厳密には三大栄養素の一つは「炭水化物」です。
炭水化物は、糖質と食物繊維から構成されています。
つまり、
炭水化物=糖質+食物繊維
という関係です。
この記事では、この違いも含めて、三大栄養素についてできるだけ分かりやすく整理していきます。
そして、パティシエとして23年間、洋菓子と向き合ってきた私自身の視点から、普段何気なく食べているお菓子の材料と三大栄養素がどのようにつながっているのかも見ていきます。
三大栄養素とは?
三大栄養素とは、
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
の3つを指します。
これらは、身体に必要なエネルギーを生み出すことに関わる栄養素で、「エネルギー産生栄養素」とも呼ばれています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、たんぱく質、脂質、炭水化物について、それぞれの摂取量やバランスが示されています。
ここで大切なのは、
「三大栄養素のどれが一番大切なのか?」
と考えないことです。
3つにはそれぞれ異なる役割があり、どれか一つだけを摂ればよいというものではありません。
健康的な食生活を考えるときには、それぞれの特徴を知り、食事全体を見ることが大切です。
まずは「三大栄養素」を身近な食品で見てみましょう
栄養素の名前だけを覚えようとすると、少し難しく感じるかもしれません。
そこで、普段食べているものに置き換えて考えてみましょう。
たとえば、
ご飯やパン、麺類には炭水化物が含まれています。
肉、魚、卵、大豆製品などにはたんぱく質が含まれています。
油、バター、ナッツ類などには脂質が含まれています。
もちろん、実際の食品には一つの栄養素だけが含まれているわけではありません。
例えば卵にも、たんぱく質だけでなく脂質など、さまざまな栄養素が含まれています。
このように考えると、栄養素は「食品を分類するための名前」というより、
「食品を違った角度から見るためのものさし」
と考えると分かりやすいかもしれません。
炭水化物と糖質は同じではありません
三大栄養素について学ぶとき、特に混乱しやすいのが「炭水化物」と「糖質」です。
この2つは同じ意味ではありません。
炭水化物は、糖質と食物繊維から構成されています。
そのため、
炭水化物=糖質+食物繊維
と覚えておくと、まずは整理しやすいでしょう。
「糖質」という言葉を聞くと、砂糖だけをイメージする人もいるかもしれません。
しかし、糖質には砂糖だけではなく、でんぷんなども含まれます。
例えば、ご飯やパン、小麦粉などに含まれるでんぷんも糖質の一つです。
ここは、パティシエとしてお菓子を作っていると、とても身近に感じる部分です。
洋菓子では、小麦粉や砂糖を使う場面がたくさんあります。
スポンジ生地を作るときにも小麦粉や砂糖を使います。
クッキーにも小麦粉や砂糖を使います。
パイやタルト、シュー生地などにも小麦粉が使われます。
製菓の現場では、これらは「生地を作るため」「甘さをつけるため」「食感を作るため」など、それぞれに重要な役割を持つ材料です。
一方で、栄養という視点から見ると、そこに含まれる栄養素について考えることができます。
同じ材料でも、
パティシエから見ると「製菓材料」。
栄養の視点から見ると「栄養素を含む食品」。
この見方の違いが、私はとても面白いと思っています。
脂質は「悪いもの」と決めつけない
次は脂質です。
脂質という言葉を聞くと、
「脂質は太るから控えたほうがいい」
というイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、脂質も私たちの身体に必要な栄養素の一つです。
食品では、植物油、バター、肉、魚、ナッツ類など、さまざまなものに含まれています。
そして、脂質にも種類があります。
そのため、「脂質だから全部同じ」と考えるのではなく、どのような食品から、どのような脂質を摂っているのかという視点も大切になります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、脂質については量だけでなく、その構成成分である飽和脂肪酸など、脂質の「質」への配慮が必要とされています。
ここでも、洋菓子の世界には興味深い材料があります。
例えばバターです。
パティシエにとってバターは、単に「脂質を含む食品」ではありません。
香りを与えたり、口溶けに関わったり、生地の食感を作ったりします。
クロワッサンのようなヴィエノワズリーでは、バターの存在が生地の特徴そのものに大きく関わります。
焼き菓子でも、バターは風味や食感に関わる重要な材料です。
つまり、同じバターでも、
「脂質を含む食品」
という栄養の視点と、
「お菓子の風味や食感を作る材料」
という製菓の視点があります。
この二つの視点を持って食品を見ると、普段の食事が少し違って見えてきます。
たんぱく質は「筋肉のため」だけではありません
三大栄養素の最後は、たんぱく質です。
たんぱく質というと、
「筋肉を作る栄養素」
というイメージが強いかもしれません。
もちろん、たんぱく質は身体を構成する重要な成分の一つです。
しかし、たんぱく質の役割を「筋肉だけ」と考えてしまうのは、少しもったいない見方です。
たんぱく質は、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品など、さまざまな食品から摂ることができます。
そして、洋菓子にもたんぱく質を含む食品が使われています。
その代表的なものが卵と乳製品です。
例えばスポンジ生地。
卵は、製菓において非常に重要な材料です。
泡立てることで生地の構造を作ったり、加熱によって生地の状態を変化させたりします。
卵黄と卵白では性質も異なり、それぞれが製菓において重要な役割を持っています。
一方、栄養という視点で見ると、卵はたんぱく質などの栄養素を含む食品です。
このように、
「卵=お菓子を作るための材料」
という見方だけではなく、
「卵=栄養について考えることができる食品」
という見方もできます。
これは、私がパティシエとして長く仕事をしてきたからこそ、Lumiaで伝えていきたい部分です。
お菓子の材料を「栄養」という視点で見てみる
ここで、一度ケーキを思い浮かべてみてください。
例えば、ショートケーキ。
スポンジには小麦粉、卵、砂糖などが使われています。
クリームには生クリームなどの乳製品が使われます。
そして、苺などの果物が加わります。
パティシエとして見ると、
「スポンジの状態はどうか」
「クリームの乳化状態はどうか」
「苺の酸味とクリームの甘さは合っているか」
「全体の食感はどうか」
など、製菓技術の視点から考えます。
でも、栄養という視点から見ると、
「どんな食品が使われているのか」
「それぞれにはどんな栄養素が含まれているのか」
という見方ができます。
私は、この二つの視点を組み合わせることに、Lumiaならではの面白さがあると思っています。
お菓子を「健康に良い食品」として無理に説明するのではありません。
そうではなく、
お菓子をきっかけに、食材や栄養について興味を持ってもらう。
それがLumiaの考える「お菓子×健康」の一つの形です。
三大栄養素は「どれが良い・悪い」ではありません
ここまで、たんぱく質、脂質、炭水化物について見てきました。
ここで覚えておきたいのが、
「これは良い栄養素、これは悪い栄養素」と単純に分けないこと
です。
たんぱく質にも、脂質にも、炭水化物にも、それぞれ役割があります。
そして、健康的な食生活を考えるときには、一つの栄養素だけを見るのではなく、食事全体のバランスを考えることが大切です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、エネルギー産生栄養素について、たんぱく質、脂質、炭水化物それぞれの目標量が示されています。
ただし、これらの数値は誰にでもそのまま当てはめればよいというものではありません。
食事摂取基準は、性別や年齢などに応じて設定されており、基本的には「習慣的な」摂取量を考えるための基準です。
そのため、
「今日、脂質を多く食べたから失敗」
「今日は炭水化物を食べたから健康に悪い」
と、一日、一食だけを切り取って考える必要はありません。
食生活は、もっと長い目で見ることが大切です。
三大栄養素の「バランス」を考えてみる
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、エネルギー産生栄養素バランスについて、エネルギーに占める割合として目標量が設定されています。
例えば、成人では、たんぱく質、脂質、炭水化物について一定の範囲が示されています。
ただし、ここで重要なのは、数字だけを追いかけることではありません。
食事摂取基準は、必要なエネルギー量を確保した上でのバランスとして考えることや、示された範囲を柔軟に運用することが示されています。
つまり、
「たんぱく質は○%だから、毎食きっちり○%にする」
というような単純な話ではありません。
栄養の数字は便利な一方で、数字だけを見ると食生活全体を見失ってしまうことがあります。
だからこそ、まずは、
「自分は普段、どんな食品を食べているのだろう?」
と考えるところから始めてみるのがおすすめです。
パティシエの私が考える「お菓子と栄養」
私は23年間、パティシエとして洋菓子に携わってきました。
これまで仕事の中で、何度も卵を割り、粉を計量し、砂糖を量り、バターを扱ってきました。
生地を仕込み、焼き上げ、クリームを作り、一つのお菓子に仕上げていく。
製菓の仕事をしていると、材料は「お菓子を作るためのもの」として見ることが多くなります。
ところが、栄養について学ぶようになると、同じ材料が違って見えてきます。
小麦粉。
砂糖。
バター。
卵。
牛乳。
ナッツ。
カカオ。
果物。
これらは、私たちが普段食べている食品でもあります。
そして、それぞれに含まれる栄養素があります。
もちろん、だからといって、
「お菓子を食べれば必要な栄養がすべて摂れる」
という意味ではありません。
お菓子には、お菓子としての役割があります。
食事にも、食事としての役割があります。
そのうえで、
「このお菓子には、どんな材料が使われているのだろう?」
と興味を持つ。
そこから、
「この材料には、どんな栄養素が含まれているのだろう?」
と考える。
私は、この小さな疑問が、食について学ぶきっかけになると思っています。
栄養を知ると、お菓子の見方も変わる
例えば、アーモンドを使った焼き菓子を食べたとします。
これまでは、
「香ばしくておいしい」
で終わっていたかもしれません。
でも、栄養について知っていれば、
「アーモンドにはどんな栄養素が含まれているのだろう?」
と興味を持てます。
チョコレートなら、
「カカオってどんな食品なのだろう?」
と考えてみる。
卵を使ったケーキなら、
「卵にはどんな栄養があるのだろう?」
と調べてみる。
牛乳を使ったお菓子なら、
「乳製品にはどんな栄養素が含まれているのだろう?」
と考えてみる。
こうしてみると、普段何気なく食べていたお菓子が、栄養を学ぶ教材のようにも見えてきます。
もちろん、これは「お菓子を健康食品として扱う」という意味ではありません。
あくまで、
「お菓子を入り口に、食材や栄養について知る」
という考え方です。
これが、Lumiaが大切にしている「お菓子×健康」の考え方です。
三大栄養素を知ったら、次は何を知ればいい?
三大栄養素について分かったら、次はビタミンやミネラルについて知ってみるのもおすすめです。
たんぱく質、脂質、炭水化物だけでなく、私たちの食生活にはさまざまな栄養素が関わっています。
第1記事でも紹介したように、栄養を考えるときは、一つの栄養素だけを見るのではなく、食生活全体を見ることが大切です。
そして、栄養素の知識が増えてくると、
「この食品には何が含まれている?」
「この料理にはどんな栄養素がある?」
「このお菓子の材料にはどんな特徴がある?」
という疑問が自然と出てくるようになります。
Lumiaでは、こうした疑問を一つずつ取り上げていきます。
まとめ
今回は、三大栄養素である「たんぱく質・脂質・炭水化物」について基本を紹介しました。
- 三大栄養素は、たんぱく質・脂質・炭水化物です。
- 三大栄養素は、エネルギー産生栄養素とも呼ばれています。
- 炭水化物は、糖質と食物繊維から構成されています。
- 糖質と炭水化物は同じ意味ではありません。
- 脂質は単純に「悪いもの」と考えるのではなく、量だけでなく質にも目を向けることが大切です。
- たんぱく質は、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品など、さまざまな食品から摂ることができます。
- 健康的な食生活を考えるときは、一つの栄養素だけではなく、食事全体を見ることが大切です。
- お菓子に使われる卵、バター、牛乳、小麦粉、ナッツ、カカオなども、栄養について学ぶきっかけになります。
そして、Lumiaが大切にしたいのは、
「お菓子を健康食品にすること」ではありません。
「お菓子をきっかけに、食べ物と栄養について興味を持つこと」です。
パティシエとして23年間、洋菓子を作ってきたからこそ分かる「材料の面白さ」。
そこに栄養という視点を加えると、いつものお菓子が少し違って見えてくるかもしれません。
「このお菓子には、どんな材料が使われているんだろう?」
まずは、そんな小さな疑問から始めてみてください。
食べることを楽しみながら、少しずつ栄養を知っていく。
それが、Lumiaが提案する「お菓子×健康」の楽しみ方です。
参考資料
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書」
厚生労働省「e-ヘルスネット 日本人の食事摂取基準」
※本記事は、栄養や食生活についての一般的な情報を紹介することを目的としています。特定の疾病の治療や予防、個別の栄養指導を目的としたものではありません。食事について個別の指導を受けている方は、医師や管理栄養士など専門家の指示を優先してください。

