「ビタミンは身体に良いもの」
「ミネラルも健康に必要らしい」
そんなイメージはあっても、
「そもそもビタミンって何?」
「ミネラルって、どんな栄養素?」
と聞かれると、少し説明が難しいのではないでしょうか。
第1記事では、私たちが健康的な食生活を考えるうえで知っておきたい「5大栄養素」を紹介しました。
そして第2記事では、その中から「たんぱく質・脂質・炭水化物」という三大栄養素について詳しく見てきました。
今回は、その続きです。
取り上げるのは、ビタミンとミネラル。
どちらも、たんぱく質や脂質、炭水化物とは違った役割を持つ、大切な栄養素です。
とはいえ、ここで「ビタミンをたくさん摂れば健康になる」「ミネラルは多ければ多いほど良い」と考える必要はありません。
大切なのは、それぞれの特徴を知り、普段の食生活を考える材料にすることです。
パティシエとして23年間、洋菓子に携わってきた私にとって、ビタミンやミネラルを知ることは、普段扱っている食材を別の角度から見直すことでもありました。
この記事では、ビタミンとミネラルの基本をできるだけ分かりやすく整理していきます。
そもそも「ビタミン・ミネラル」とは?
まずは、ビタミンとミネラルがどのようなものなのかを簡単に見てみましょう。
ビタミンは、身体の正常な生理機能を維持するために必要な微量の有機化合物です。
現在、ビタミンとされているものは13種類あり、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」と、脂に溶けやすい「脂溶性ビタミン」に分けられます。
一方、ミネラルは、身体を構成する主要な元素である酸素・炭素・水素・窒素以外の元素の総称で、「無機質」とも呼ばれます。
代表的なものとして、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどがあります。
つまり、ビタミンとミネラルは、どちらも「微量であっても身体に必要な栄養素」として、私たちの食生活に関わっています。
ただし、ビタミンとミネラルは同じものではありません。
ビタミンは有機化合物。
ミネラルは元素。
この違いを知っておくと、まずは十分です。
ビタミンにはどんな種類がある?
ビタミンは13種類あります。
大きく分けると、
脂溶性ビタミン
・ビタミンA
・ビタミンD
・ビタミンE
・ビタミンK
水溶性ビタミン
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ナイアシン
・ビタミンB6
・ビタミンB12
・葉酸
・パントテン酸
・ビオチン
・ビタミンC
という分類です。
「ビタミン」と一言で呼んでいても、実はこれだけの種類があります。
そして、それぞれが異なる生理的役割を担っています。
例えば、ビタミンCとビタミンDでは、名前こそ同じ「ビタミン」ですが、働きも含まれる食品も異なります。
そのため、
「ビタミンを摂る」
というだけでは、少し大まかすぎます。
「どのビタミンなのか?」
というところまで考えると、栄養について一歩深く理解できます。
水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの違い
13種類のビタミンを理解するときに、もう一つ覚えておきたいのが、
水溶性ビタミン
と
脂溶性ビタミン
という分類です。
水溶性ビタミンには、ビタミンB群やビタミンCがあります。
一方、脂溶性ビタミンには、ビタミンA・D・E・Kがあります。
この分類は、ビタミンの性質を理解するための基本的な知識です。
ただし、ここでも「水溶性だからたくさん摂っても大丈夫」「脂溶性だから危険」というように、単純に考える必要はありません。
栄養素は、少なすぎても多すぎても適切ではない場合があります。
だからこそ、
「必要な栄養素を、適切な量で摂る」
という考え方が大切です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、ビタミンについてそれぞれの栄養素ごとに基準が設定されています。
ミネラルにはどんなものがある?
次はミネラルです。
ミネラルには、さまざまな種類があります。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、多量ミネラルとして、
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・マグネシウム
・リン
の5種類。
微量ミネラルとして、
・鉄
・亜鉛
・銅
・マンガン
・ヨウ素
・セレン
・クロム
・モリブデン
の8種類について基準が設定されています。
ここで「多量」「微量」と聞くと、
「多量ミネラルはたくさん必要で、微量ミネラルは少ししか必要ないの?」
と思うかもしれません。
これは、身体に必要な量の違いによって分類されているものです。
e-ヘルスネットでは、1日の摂取量が100mg以上必要なものを多量ミネラル、100mg未満のものを微量ミネラルとしています。
このように、ミネラルも一つの栄養素ではありません。
さまざまな種類があり、それぞれに異なる役割があります。
ビタミンとミネラルは「身体を動かす材料」だけではない
第2記事では、たんぱく質・脂質・炭水化物について紹介しました。
これらはエネルギー産生栄養素とも呼ばれ、私たちのエネルギー供給に関わっています。
では、ビタミンやミネラルはどうでしょうか。
ビタミンやミネラルは、三大栄養素とは違った役割を担っています。
例えば、ビタミンには身体のさまざまな生理機能に関わるものがあります。
ミネラルも、身体の構成成分となったり、体内のさまざまな機能に関わったりしています。
つまり、
「エネルギーになる栄養素」だけでは、食生活を考えることはできない。
ということです。
これが、5大栄養素を一緒に考える理由の一つです。
「ビタミン=野菜」だけではありません
ビタミンについて考えると、
「ビタミンは野菜から摂るもの」
というイメージがあるかもしれません。
確かに野菜には、さまざまなビタミンやミネラルが含まれています。
しかし、ビタミンやミネラルを含む食品は、野菜だけではありません。
果物、魚、肉、卵、乳製品、豆類、海藻、ナッツなど、さまざまな食品から摂取できます。
例えば、厚生労働省のe-ヘルスネットでも、果物にはビタミンCやカリウムなどが含まれていることが紹介されています。
だからこそ、
「野菜を食べているから大丈夫」
と一つの食品群だけで考えるより、
「いろいろな食品を組み合わせて食べる」
という考え方が重要になります。
パティシエの私が「ビタミン・ミネラル」を面白いと思う理由
ここからは、少しパティシエとしての話をしたいと思います。
私はこれまで23年間、洋菓子の仕事に携わってきました。
仕事では、卵、牛乳、バター、小麦粉、砂糖、ナッツ、果物、カカオなど、たくさんの食材を扱います。
パティシエにとって、これらは「お菓子を作るための材料」です。
例えば、
卵なら、泡立てることで生地の構造を作る。
牛乳なら、クリームや生地などに使う。
バターなら、香りや食感、口溶けに関わる。
ナッツなら、香ばしさや食感を加える。
果物なら、酸味や香り、彩りを加える。
カカオなら、チョコレート特有の風味を作る。
製菓の現場では、それぞれの材料が持っている性質を考えながら、お菓子を作ります。
ところが、「栄養」という視点を持って見ると、同じ材料がまた違って見えてきます。
例えば、牛乳や乳製品にはカルシウムが含まれています。
卵にもさまざまな栄養素が含まれています。
ナッツにはミネラルなどが含まれています。
果物にはビタミンやミネラルなどが含まれています。
つまり、
製菓材料として見る食材
と
栄養素を含む食品として見る食材
では、同じものでも見えてくる世界が違います。
私は、この視点の変化がとても面白いと思っています。
お菓子を「栄養の入口」にしてみる
ここで、Lumiaが大切にしている考え方につながります。
例えば、ケーキを食べたとしましょう。
「おいしいな」
で終わっても、もちろん構いません。
お菓子は、まず楽しむためのものだからです。
でも、もし少しだけ興味が湧いたら、
「このケーキには何が入っているんだろう?」
と考えてみる。
卵が使われている。
牛乳や生クリームが使われている。
小麦粉が使われている。
果物が使われている。
ナッツが使われているかもしれない。
そこから、
「卵にはどんな栄養があるんだろう?」
「乳製品にはどんなミネラルがあるんだろう?」
「果物に含まれるビタミンって何だろう?」
という疑問につながります。
私は、この「ちょっと気になる」が大切だと思っています。
お菓子を食べること自体を、無理に健康と結びつける必要はありません。
むしろ、
お菓子を楽しむことから、食材に興味を持つ。
そして、
食材に興味を持ったことから、栄養について知る。
そんな順番があってもいいのではないでしょうか。
ビタミンやミネラルは「多ければ多いほど良い」わけではない
健康について調べていると、
「○○を摂ると健康に良い」
「○○が不足すると大変」
といった情報を目にすることがあります。
しかし、栄養素は「多ければ多いほど良い」と単純に考えることはできません。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、栄養素によって、推奨量、目安量、目標量、耐容上限量など、目的に応じた指標が設定されています。
つまり、
不足を避けることだけでなく、過剰な摂取を避けることも重要
ということです。
だからこそ、特定の栄養素だけに注目するのではなく、食事全体を考えることが大切です。
「この栄養素が身体に良いから、この食品だけを食べよう」
という考え方ではなく、
いろいろな食品を組み合わせて、食生活全体を整えていく。
この考え方を、Lumiaでは大切にしていきたいと思います。
栄養素は「単独」で考えるより、食生活全体で考える
ここまで、第1記事から3記事にわたって栄養について考えてきました。
第1記事では、
5大栄養素とは何か。
第2記事では、
たんぱく質・脂質・炭水化物とは何か。
そして今回は、
ビタミン・ミネラルとは何か。
これで、5大栄養素についての基本的な地図ができました。
ただし、ここで終わりではありません。
むしろ、ここからがスタートです。
栄養素について知識が増えてくると、
「たんぱく質は、どんな食品に多いの?」
「鉄は、何を食べれば摂れる?」
「カルシウムは?」
「ビタミンDは?」
という、次の疑問が生まれてきます。
Lumiaでは、これからこうした疑問を一つずつ取り上げていきます。
「栄養素」から「食品」へ
栄養の勉強をするとき、栄養素の名前だけを覚えていくと、少し難しく感じるかもしれません。
そこで、Lumiaでは「食品」と結びつけて考えていきたいと思っています。
例えば、
たんぱく質
↓
卵・肉・魚・乳製品・大豆製品など
カルシウム
↓
乳製品など
鉄
↓
さまざまな食品
ビタミンD
↓
魚など
というように、栄養素と食品をつなげて考えていきます。
そして、その先には「お菓子」があります。
卵。
牛乳。
バター。
ナッツ。
カカオ。
果物。
これらは、栄養を考えるうえで身近な食品であると同時に、洋菓子を作るうえでも重要な材料です。
だからこそ、パティシエとしての経験を活かしながら、
「栄養素」→「食品」→「お菓子」
という順番で、食について考えていきたいと思います。
まとめ
今回は、ビタミンとミネラルについて基本を紹介しました。
ポイントをまとめると、
- ビタミンは、身体の正常な生理機能の維持に必要な微量の有機化合物です。
- ビタミンは13種類あり、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分類されます。
- ミネラルは、身体を構成する主要な元素以外の元素の総称で、無機質とも呼ばれます。
- ミネラルには、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどがあります。
- ビタミンやミネラルは、それぞれ異なる役割を持っています。
- 「ビタミンなら何でも同じ」「ミネラルなら何でも同じ」と考えず、それぞれの特徴を知ることが大切です。
- 特定の栄養素だけに注目するのではなく、さまざまな食品を組み合わせて食生活全体を見ることが大切です。
- お菓子に使われる食材も、栄養について考えるきっかけになります。
そして、Lumiaが大切にしたいのは、
「お菓子を健康食品として考えること」ではありません。
「お菓子をきっかけに、食材や栄養について知ること」です。
23年間パティシエとして洋菓子を作ってきた私だからこそ、
「この材料は、お菓子の中ではこんな働きをしている」
という製菓の視点と、
「この食材には、こんな栄養素が含まれている」
という栄養の視点。
この二つをつなげながら、食べることをもっと身近に考えられる記事を、これからも作っていきたいと思います。
次は、三大栄養素の一つでもある**「たんぱく質」**について、もう少し詳しく見てみましょう。
たんぱく質は、私たちの身体を構成する重要な成分の一つです。
そして、卵や牛乳など、洋菓子にも欠かせない食材と深く関わっています。
「たんぱく質って、そもそも何だろう?」
そんな疑問から、次の一歩を始めてみましょう。
参考資料
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」
厚生労働省 e-ヘルスネット「ミネラル」
厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活/栄養素と食品成分」
※本記事は、ビタミン・ミネラルや食生活についての一般的な情報を紹介することを目的としています。特定の疾病の治療や予防、個別の栄養指導を目的としたものではありません。食事や栄養について個別の指導を受けている場合は、医師や管理栄養士など専門家の指示を優先してください。

