カスタードクリームがダマになる原因は?パティシエが見る「ダマ」の正体
カスタードクリームを炊いていると、なめらかだったはずのクリームの中に、小さな粒や塊ができることがあります。
いわゆる「ダマ」です。
では、このダマは一体何なのでしょうか。
現場のパティシエなら、まず「何かが混ざっている」とは考えません。ダマの多くは、加熱によって一部が先に固まってしまったカスタードクリームの一部です。
カスタードクリームは、卵黄、砂糖、牛乳、小麦粉やでん粉などを混ぜ、加熱することでとろみをつけます。
加熱すると、卵黄に含まれるたんぱく質が変化し、さらに小麦粉やでん粉も水分を吸収して糊化します。これらの働きによって、液体だったものがクリーム状になります。
つまり、カスタードクリームは「加熱して固める」ことで完成するクリームです。
ところが、鍋の中で一部分だけが急激に加熱されると、その部分だけが先に固まり始めます。それが周囲の液体と均一になじまないまま残ると、私たちが「ダマ」と呼んでいる状態になります。
特に注意したいのが、鍋底や鍋肌です。
火が直接当たる部分は温度が上がりやすいため、混ぜる手を止めたり、火加減が強すぎたりすると、その部分から急激に粘度が上がっていきます。
また、粉類が最初から均一に分散していない場合も、加熱したときに一部だけが固まりやすくなります。
そのため、カスタードクリームを作るときは「とにかく強く混ぜる」ことよりも、材料を均一な状態にしてから、加熱中も全体を均一に動かすことが重要です。
現場のパティシエなら、ダマができてから対処するよりも、「どこから固まり始めているのか」を見ます。
鍋底が重くなってきたのか、鍋肌に固まりが出てきたのか。それとも、全体が均一に粘度を増しているのか。
こうした変化を見ながら、火加減と混ぜ方を調整します。
そして、ダマになったカスタードクリームを裏ごしすれば、ある程度なめらかに戻すことはできます。
ただし、裏ごしは「ダマができる原因を解決する方法」ではありません。固まってしまった部分を物理的に取り除いているだけです。
カスタードクリームのダマは、単なる混ぜ残しではありません。
卵のたんぱく質やでん粉が、必要なタイミングより先に局所的に固まってしまったもの。
そう考えると、「なぜダマになったのか」も見えてきます。
火が強すぎなかったか。混ぜる速度や範囲に問題はなかったか。材料は最初から均一に混ざっていたか。
カスタードクリームは、材料を混ぜれば完成するものではありません。
加熱によって起こる変化を見ながら、固まり方をコントロールする。
それが、なめらかなカスタードクリームを作るためのパティシエの考え方です。


