マカロンを焼いたのに、表面はきれいに仕上がったのに、底の部分に「ピエ」が出ない。
マカロンらしいフリル状の立ち上がりを期待していたのに、平らなまま焼き上がると、何が原因なのか分からなくなります。
マカロンのピエは、単純に「焼けば自然に出てくるもの」ではありません。
現場のパティシエなら、ピエが出ないときは、生地の状態、乾燥、焼成という3つの工程を順番に確認します。
まず考えたいのが、マカロナージュです。
マカロナージュが不足すると、生地の中に大きな気泡が残りやすくなります。一方、マカロナージュを進めすぎると、生地の粘度が下がり、絞った生地が広がりすぎることがあります。
ピエを作るには、焼成中に生地内部の水分などによって生じる力を適切に逃がしながら、生地の外側へ押し上げるような状態が必要です。
そのためには、焼く前の生地が適切な粘度を持っていることが重要になります。
次に確認したいのが乾燥です。
絞ったマカロンの表面を乾燥させることで、表面に皮膜が形成されます。この皮膜があることで、焼成中に内部で生じる力が上方向や周囲へ作用し、表面が大きく割れることを防ぎながら、底部にピエが形成されやすくなります。
ただし、乾燥時間は環境によって変わります。
湿度や温度、生地の水分量によって表面の乾き方は変わるため、「必ず何分乾燥させる」と時間だけで判断するのは適切ではありません。
そして、焼成条件も重要です。
オーブンの温度が低すぎれば、生地内部の変化が十分に起こらず、ピエが形成されにくくなることがあります。一方で、温度が高すぎれば、表面が先に固まったり、ひび割れにつながったりすることもあります。
現場のパティシエなら、ピエが出なかったときに「もっと高温で焼こう」とすぐに変更するのではなく、まず焼く前の生地に戻ります。
マカロナージュの状態はどうだったか。絞ったときに生地はどの程度広がったか。表面は適切に乾燥していたか。そして、オーブンの熱は生地にどのように伝わっていたか。
ピエは、焼成だけで作るものではありません。
生地を作り、気泡を整え、表面を乾燥させ、焼成によって内部の変化をコントロールする。
その一連の工程がうまくつながったときに、マカロンの底に特徴的なピエが現れます。
「ピエが出ないから温度を上げる」のではなく、「ピエができる条件が、焼く前から整っていたか」。
この視点でマカロンを見ると、失敗の原因を一つずつ切り分けやすくなります。



