アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、くるみ。
ナッツは、私たちの身近にある食品の一つです。
そのまま食べることもあれば、パンや焼き菓子に入っていたり、チョコレートと組み合わせられていたり、ケーキやアイスクリームの材料として使われていたりします。
特に洋菓子の世界では、ナッツはとても身近な存在です。
例えばアーモンドは、アーモンドパウダーとして焼き菓子に使われます。
ヘーゼルナッツは、チョコレートとの組み合わせでおなじみです。
ピスタチオは、クリームや焼き菓子、アイスクリームなどに使われます。
では、ナッツを「栄養」という視点から見ると、どのような食品なのでしょうか。
そして、パティシエから見ると、ナッツにはどのような役割があるのでしょうか。
今回は、ナッツを、「栄養のレンズ」「パティシエのレンズ」という二つの視点から見ていきます。
そもそも「ナッツ」とは何でしょうか?
まずは、「ナッツ」という言葉について考えてみましょう。
普段私たちは、アーモンドやくるみ、ヘーゼルナッツなどをまとめて「ナッツ」と呼んでいます。
しかし、植物学的には、これらがすべて同じ種類の「果実」や「種子」というわけではありません。
ここでは難しい分類に入りすぎず、一般的な食品として「ナッツ」と呼ばれているものを見ていきます。
代表的なものとして、
アーモンド、くるみ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ
などがあります。
それぞれ大きさや形、香り、食感、味わいが異なります。
そして、この違いは栄養だけでなく、製菓においても重要になります。
同じ「ナッツ」でも、すべてを同じように扱えるわけではないからです。
【栄養のレンズ】ナッツにはどんな栄養がある?
ここから一つ目のレンズです。
ナッツを食品として見た場合、まず注目したいのが、「脂質」です。
ナッツには脂質が多く含まれるものがあります。
また、たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルなども含まれています。
ただし、ここで大切なのは、「ナッツには○○が入っている」だけで終わらせないことです。
以前の記事で紹介したように、食品は一つの栄養素だけでできているわけではありません。
ナッツにも、複数の栄養成分が含まれています。
そのため、
「脂質が多いから悪い食品」
「ビタミンが入っているから健康に良い食品」
といった単純な判断ではなく、食品全体としてどのような特徴があるのかを見ることが大切です。
ナッツの「脂質」は、製菓でも重要な意味を持つ
ここは、栄養と製菓がつながる面白いところです。
ナッツに含まれる脂質は、栄養の視点から見るだけではありません。
製菓においても、ナッツの脂質は重要な役割を持っています。
例えば、アーモンドやヘーゼルナッツをペースト状にすると、ナッツに含まれる油脂によって、なめらかな状態になります。
これを利用して作られるのが、「プラリネ」などのナッツを使った製菓素材です。
つまり、栄養のレンズで見ると「脂質」。
パティシエのレンズで見ると「素材の性質」。
同じ脂質でも、見る角度によって意味が変わってきます。
これが、Lumiaで大切にしている「二つのレンズ」の面白さです。
ナッツは「そのまま」だけではない
ナッツは、そのまま食べるだけではありません。
製菓では、さまざまな形に加工して使います。
例えば、
ホール
そのままの形で使います。
スライス
薄くスライスして、焼き菓子などに使います。
ダイス
細かく刻んで、生地やトッピングなどに使います。
パウダー
粉末状にして、生地などに使います。
ペースト
ナッツをすりつぶしてペースト状にします。
プラリネ
ナッツと砂糖を組み合わせ、香ばしさや甘さを持つ製菓素材として利用します。
このように考えると、ナッツは「一つの食品」ではなく、加工によってさまざまな表情を見せる製菓素材だということが分かります。
【パティシエのレンズ】ナッツは「食感」を作る材料
ここから二つ目のレンズです。
パティシエの立場から見ると、ナッツの魅力は「味」だけではありません。
特に重要なのが、食感です。
例えば、焼き菓子にアーモンドを加えると、香ばしさだけでなく、噛んだときの食感にも変化が生まれます。
細かく砕けば、生地の中にナッツの風味を加えることができます。
スライスしたものを表面に使えば、見た目と食感のアクセントになります。
ペーストにすれば、なめらかな口当たりと濃厚なナッツの風味を加えることができます。
つまりナッツは、「味を加える材料」であると同時に、「食感を作る材料」でもあります。
さらに、焼くことで香ばしさが生まれ、ナッツそのものの風味も変化します。
この「香ばしさ」も、洋菓子では非常に重要な要素です。
23年間パティシエをしてきて感じる「ナッツ」の面白さ
23年間パティシエとして洋菓子に携わってきた中で、私がナッツに対して面白いと感じるのは、
同じナッツでも、加工方法によってお菓子の表情が大きく変わること
です。
例えば、同じアーモンドでも、
そのまま使うのか。
スライスするのか。
細かく刻むのか。
パウダーにするのか。
ペーストにするのか。
それだけでも、使い方や仕上がりが変わります。
さらに、焼く前と焼いた後でも香りや食感が変わります。
製菓では、単に「アーモンドを入れる」という考え方ではなく、
「アーモンドをどの状態で、どのように使うのか」
というところまで考えることがあります。
これは、ナッツを食品として見るだけでは分かりにくい、パティシエならではの視点かもしれません。
チョコレートとナッツの相性が良いのはなぜ?
前記事では、カカオについて取り上げました。
そして今回のナッツの記事につながったきっかけの一つも、
カカオとナッツの組み合わせ
です。
チョコレートとヘーゼルナッツ。
チョコレートとアーモンド。
チョコレートとピスタチオ。
洋菓子では、こうした組み合わせをよく目にします。
なぜでしょうか。
一つの理由として考えられるのが、香りと食感の組み合わせです。
チョコレートの濃厚な風味に、ナッツの香ばしさが加わります。
さらに、なめらかなチョコレートに、ナッツのカリッとした食感を組み合わせることもできます。
つまり、カカオの風味とナッツの香ばしさ・食感を組み合わせることで、洋菓子の中に異なる要素を重ねることができます。
これは、栄養成分表だけでは見えてこない「製菓の世界」です。
ナッツを「健康食品」としてだけ見ない
ここで、栄養の話にもう一度戻りましょう。
ナッツにはさまざまな栄養成分が含まれています。
そのため、健康や栄養について調べていると、ナッツを「健康に良い食品」として紹介する情報を目にすることがあります。
しかし、Lumiaでは、ナッツについても単純な評価はしません。
ナッツには脂質が多く含まれるものがあり、エネルギー量も比較的高い食品です。
また、商品によっては食塩や砂糖などが加えられている場合もあります。
そのため、「ナッツだから何でも同じ」とは考えないことが大切です。
素焼きなのか。
味付けされているのか。
砂糖を使った加工品なのか。
お菓子の材料として使われているのか。
実際に食べる食品の形によって、原材料や栄養成分は変わります。
食品を考えるときには、食品そのものだけでなく、「どのような状態で食べているのか」まで見ることが大切です。
栄養のレンズとパティシエのレンズを合わせる
ここまで、ナッツを二つの方向から見てきました。
栄養のレンズでは、
脂質、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどを含む食品
として見ることができます。
パティシエのレンズでは、
香り、食感、風味、見た目などを変化させる製菓材料
として見ることができます。
そして、この二つを組み合わせると、
「ナッツにはどのような栄養があるのか?」
という疑問だけでなく、
「なぜパティシエはナッツを使うのか?」
という疑問にも答えられるようになります。
例えば、アーモンドパウダーが使われた焼き菓子を食べるとき。
「アーモンドにはどんな栄養が含まれているのだろう」
と考えることもできます。
同時に、
「なぜこのお菓子にはアーモンドパウダーが使われているのだろう」
と考えることもできます。
栄養と製菓。
一見すると別々の分野に見えますが、一つの食品を通して見ると、実はつながっています。
食品を知ることは、お菓子をもっと楽しむことにもつながる
卵は、栄養面だけでなく、乳化や凝固など、製菓において重要な働きを持っています。
乳製品は、牛乳、生クリーム、バターなど、それぞれ異なる性質を持つ製菓材料になります。
カカオは、カカオ豆からさまざまな素材へ加工され、チョコレートとして洋菓子に使われます。
そしてナッツは、風味や香ばしさだけでなく、食感や素材としての性質を活かして使われます。
こうして並べてみると、食品を知ることと、お菓子を知ることは、別々のことではないと分かります。
むしろ、食品について知れば知るほど、「なぜこの材料がお菓子に使われているのだろう?」という疑問が生まれてきます。
そして、その疑問から製菓を知ると、今度は、「この材料にはどんな栄養があるのだろう?」と興味が広がります。
この行き来こそが、Lumiaでお伝えしたいことです。
まとめ
今回は、ナッツを「栄養のレンズ」と「パティシエのレンズ」から見てきました。
ナッツには、脂質、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養成分が含まれています。
一方、製菓では、ナッツをそのまま使うだけではなく、スライス、ダイス、パウダー、ペースト、プラリネなど、さまざまな形に加工して利用します。
ナッツの種類だけでなく、加工方法によっても、香り、食感、風味、使い方が変わります。
23年間パティシエとして仕事をしてきた私から見ると、ナッツの面白さは、まさにこの「変化」にあります。
同じナッツでも、どのように加工し、どのようにお菓子に組み込むかによって、違った表情を見せてくれます。
そして栄養の視点から見ても、ナッツは一つの栄養素だけで評価するのではなく、食品全体として特徴を見ることが大切です。
栄養のレンズで食品を見る。
パティシエのレンズで材料を見る。
この二つの視点を組み合わせることで、普段何気なく食べている食品やお菓子が、少し違って見えてくるかもしれません。
Lumiaではこれからも、身近な食品を入り口にして、栄養と製菓の世界をつないでいきます。

