砂糖は甘くするだけ?洋菓子に欠かせない理由を栄養と製菓の視点から考える

食材と栄養

ケーキ、クッキー、プリン、チョコレート、ジャムなど、私たちが楽しむ多くの洋菓子に使われている「砂糖」。

砂糖と聞くと、「甘くするための材料」というイメージが強いかもしれません。

しかし、パティシエにとって砂糖は、単に甘さを加えるだけの材料ではありません。

お菓子の食感や焼き色、水分の状態などにも関わる、重要な製菓材料です。

では、砂糖にはどのような働きがあり、栄養面ではどのように考えればよいのでしょうか。

今回は、砂糖を「栄養」と「製菓」の2つの視点から見ていきます。

砂糖とは?

一般的に「砂糖」と呼ばれているものの主成分は「ショ糖」です。

ショ糖は、ぶどう糖と果糖からできている二糖類の一つです。

家庭で使われる上白糖の場合、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」では、100gあたり391kcal、炭水化物99.3g、そのうちショ糖97.9gとなっています。

砂糖には、上白糖、グラニュー糖、粉糖など、さまざまな種類があります。

同じ砂糖でも結晶の大きさや性質が異なるため、製菓では用途に合わせて使い分けます。

砂糖は「甘くする」だけではない

砂糖の最も分かりやすい役割は、もちろん甘味をつけることです。

しかし、洋菓子ではそれ以外にも重要な働きをしています。

例えば、砂糖はお菓子の食感に関係します。

クッキーやスポンジケーキなどでは、砂糖の量や種類によって、生地の状態や焼き上がりの食感が変わります。

また、砂糖は水分を抱え込む性質を持つため、お菓子の水分状態にも影響します。

さらに、加熱すると砂糖は変化し、焼き菓子の焼き色や香りにも関係します。

このように砂糖は、「甘さ」だけでなく、お菓子そのものの仕上がりを左右する材料なのです。

なぜ砂糖を減らすと、お菓子の食感が変わるの?

「砂糖を減らせば、甘さを抑えたお菓子になる」

そう考えるのは自然ですが、製菓ではそれだけではありません。

砂糖は生地の水分状態や、でんぷんの変化、グルテン形成などにも影響します。

そのため、レシピから砂糖だけを大幅に減らすと、単純に「甘さだけが減る」とは限りません。

例えば、焼き菓子では食感や焼き上がりの状態が変わることがあります。

つまり、砂糖は「甘味料」であると同時に、「お菓子の状態を調整する材料」でもあるのです。

パティシエは砂糖を使い分けている

製菓では、砂糖の種類にも意味があります。

例えば、グラニュー糖は比較的純度が高く、クセの少ない甘味を持つため、さまざまな洋菓子に使用されます。

粉糖は粒子が細かく、アイシングや仕上げ、クリームなどに使われます。

上白糖はしっとりした性質があり、家庭のお菓子作りなどでも幅広く使われています。

砂糖の種類による違いは、単なる「甘さの違い」ではありません。

粒の大きさや水分との関係などによって、生地の状態や仕上がりにも影響するため、作るお菓子に合わせて選びます。

パティシエから見ると、砂糖は「設計する材料」

私自身、23年間パティシエとして製菓に携わってきました。

その経験から見ると、砂糖は「甘くするために入れる材料」というより、完成したお菓子を設計するための材料の一つです。

例えば、同じクッキーでも、

「サクッとさせたい」

「ほろっと崩れる食感にしたい」

「焼き色をしっかりつけたい」

など、目指す仕上がりによって材料の配合を考えます。

砂糖の量や種類も、その設計の中に含まれています。

お菓子作りでは、材料を一つずつ独立して考えるのではなく、砂糖、小麦粉、卵、バターなどがどのように関係するのかを見ることが大切です。

では、砂糖は健康に悪いの?

ここは、砂糖を考えるうえで気になるところです。

砂糖は炭水化物の一種で、エネルギー源となります。

一方で、砂糖を含む食品を摂りすぎることは、食生活全体のエネルギー摂取量や栄養バランスを考えるうえで注意が必要です。

WHOは、食品や飲料に含まれる「遊離糖類」について、総エネルギー摂取量の10%未満に減らすことを強く推奨し、5%未満への低減を条件付きで推奨しています。

ただし、ここで大切なのは「砂糖は悪いから食べてはいけない」と単純に考えないことです。

お菓子を楽しむことも食生活の一部です。

重要なのは、砂糖を使った食品だけに偏るのではなく、食事全体のバランスや量、頻度を考えることです。

「砂糖を使っている=悪いお菓子」ではない

例えば、ケーキには砂糖だけでなく、小麦粉、卵、乳製品、果物など、さまざまな材料が使われています。

そのため、お菓子を評価するときに「砂糖が入っているから健康に悪い」と一つの材料だけで判断することはできません。

反対に、「砂糖を使っていないから健康的」とも限りません。

食品を考えるときには、原材料だけでなく、食べる量や頻度、食生活全体を見ることが大切です。

これは、Lumiaが大切にしている「お菓子を楽しみながら栄養を考える」という考え方にもつながります。

砂糖を知ると、お菓子の見方が変わる

普段何気なく食べている洋菓子も、砂糖の役割を知ると見え方が変わってきます。

「なぜこのお菓子はこの食感なのだろう?」

「なぜこんな焼き色になるのだろう?」

「なぜ同じ砂糖でも種類を使い分けるのだろう?」

その答えの一部には、砂糖の性質が関係しています。

砂糖は、単に甘さを加える材料ではありません。

お菓子の味、食感、見た目、仕上がりを考えるうえで重要な材料です。

だからこそ、砂糖について知ることは、お菓子をもっと深く楽しむことにもつながります。

まとめ

砂糖は、洋菓子に甘味を与えるだけでなく、食感や水分状態、焼き色などにも関わる重要な製菓材料です。

砂糖の種類によって性質が異なるため、パティシエは作るお菓子に合わせて使い分けています。

栄養面では、砂糖は主にショ糖からなる炭水化物で、エネルギー源になります。一方で、砂糖を含む食品を摂りすぎないよう、食生活全体のバランスを考えることも大切です。

「砂糖は甘くするためだけの材料ではない」

このことを知るだけでも、いつもの洋菓子が少し違って見えてくるのではないでしょうか。

Lumiaではこれからも、洋菓子に使われる身近な食材を一つずつ取り上げ、栄養と製菓の両方の視点から、その魅力を考えていきます。

参考文献

・文部科学省「食品成分データベース|上白糖」
文部科学省「食品成分データベース|上白糖」

・文部科学省「食品成分データベース|グラニュー糖」
文部科学省「食品成分データベース|グラニュー糖」

・文部科学省「食品成分データベース|粉糖」
文部科学省「食品成分データベース|粉糖」

・日本調理科学会「砂糖の調理」
J-STAGE「砂糖の調理」

・日本調理科学会「甘味料としての糖類」
J-STAGE「甘味料としての糖類」

・消費者庁「栄養成分表示について」
消費者庁「栄養成分表示について」

・World Health Organization「WHO recommendations on free sugars」
WHO「WHO recommendations on free sugars」

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