なぜチーズはお菓子になる?チーズケーキから考える意外な関係

食材と栄養

チーズは、お菓子でしょうか?

そう聞かれると、多くの人は「いや、食品でしょう」と答えるかもしれません。

ところが洋菓子店を見てみると、チーズケーキ、チーズタルト、チーズムースなど、チーズを使ったお菓子がたくさん並んでいます。

塩味のイメージが強いチーズが、なぜ甘いお菓子になるのでしょうか。

その答えを知ると、チーズケーキを食べるときの見方が少し変わるかもしれません。

チーズなのに、なぜ甘い?

チーズそのものを食べれば、もちろん「チーズの味」がします。

種類によっては塩味や酸味、独特の香りもあります。

それなのに、チーズケーキになると、甘くてクリーミーなお菓子になります。

ここで面白いのが、チーズそのものを「甘く変えている」のではないということです。

砂糖を加え、や乳製品などと組み合わせることで、チーズが持っているコクや酸味を、洋菓子の味わいの中に取り込んでいるのです。

つまりチーズケーキは、

「チーズを甘くしたお菓子」

というより、

「チーズの個性を、甘いお菓子として組み立てたもの」

と考えると分かりやすいでしょう。

チーズの「コク」が、お菓子を変える

チーズを使ったお菓子の魅力といえば、やはりコクです。

生クリームやバターにも乳製品ならではの濃厚さがありますが、チーズにはそれとは違った風味があります。

特にクリームチーズを使ったチーズケーキでは、なめらかな口当たりと、ほどよい酸味が特徴になります。

そこに砂糖の甘さを合わせる。

すると、ただ甘いだけではない、奥行きのある味わいになります。

ここがチーズのおもしろいところです。

甘さを増やすだけではなく、チーズが持っている酸味やコクを利用することで、「甘いのに重すぎない」「濃厚なのに後味が楽しめる」といった味わいを組み立てられます。

もちろん、実際の仕上がりはチーズの種類や配合によって変わります。

だからこそ、パティシエにとってチーズは面白い材料なのです。

同じチーズケーキなのに、なぜこんなに違う?

「チーズケーキ」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?

表面に焼き色のついたベイクドチーズケーキ。

なめらかで冷たいレアチーズケーキ。

ふんわり軽いスフレチーズケーキ。

どれもチーズケーキですが、食感も口当たりもかなり違います。

この違いを生み出しているのは、チーズだけではありません。

卵、砂糖、クリームなどの材料との組み合わせ、そして「焼くのか、冷やして固めるのか」といった製法も関係しています。

同じチーズを使っていても、材料の配合や作り方を変えることで、まったく違うお菓子になる。

これが製菓の面白さです。

「焼く」とチーズケーキはどう変わる?

ベイクドチーズケーキを食べたとき、表面の香ばしさや、しっかりした食感を感じたことはないでしょうか。

これは加熱によって材料にさまざまな変化が起こるためです。

チーズだけでなく、卵や砂糖などを含んだ生地全体が加熱されることで、固まり方や風味、焼き色などが変化します。

特に表面の焼き色は、見た目だけでなく、香ばしい風味にもつながります。

一方、レアチーズケーキでは、焼かずに冷やして仕上げるものがあります。

同じ「チーズケーキ」でも、加熱するかどうかで印象が大きく変わるのです。

「チーズを使う」というところだけを見ていると、気づきにくい違いです。

パティシエは「どのチーズを使うか」から考える

パティシエにとって、チーズ選びも大切な工程です。

チーズなら何でも同じ、というわけではありません。

酸味が強いのか。

コクがあるのか。

香りがどのくらいあるのか。

なめらかさはどうか。

そして、他の材料と組み合わせたときにどうなるのか。

例えば、チーズそのものの個性を楽しませたいお菓子なら、チーズの風味をしっかり感じられる設計にすることが考えられます。

反対に、フルーツなど別の食材と組み合わせるなら、相手の味を邪魔しないチーズを選ぶという考え方もあります。

お菓子作りでは、材料を「単体でおいしいか」だけで判断しません。

「この材料を、ほかの材料と合わせたらどうなるか」

そこまで考えるのが製菓です。

チーズとフルーツは、なぜ相性がいい?

チーズケーキにベリー系のソースやフルーツが添えられているのを見たことがあると思います。

これにも理由があります。

チーズのコクや酸味に、フルーツの甘味や酸味、香りが加わることで、味に変化が生まれます。

例えば、いちごを合わせれば、チーズの濃厚さにいちごの爽やかな風味が加わります。

以前紹介した「いちご」も、ここでつながってきます。

食材を一つずつ覚えるだけではなく、

「この食材と、この食材はなぜ合うのだろう?」

と考えてみる。

すると、洋菓子の世界が少しずつつながっていきます。

実は、チーズは「栄養」から見ても面白い

ここで少しだけ栄養にも目を向けてみましょう。

チーズは乳製品の一つで、種類によって栄養成分は異なりますが、たんぱく質や脂質、カルシウムなどを含んでいます。

ただし、チーズケーキになると砂糖や小麦粉、卵など、さまざまな材料が加わります。

そのため、「チーズには栄養があるから、チーズケーキも健康的」と単純に考えることはできません。

ここでも大切なのは、食材一つだけを見るのではなく、完成したお菓子全体を見ることです。

Lumiaでは、これからも「栄養がある・ない」だけで食品を見るのではなく、食材がどのように組み合わさって、一つのお菓子になっているのかにも注目していきます。

パティシエから見ると、チーズケーキは「組み立て」のお菓子

23年間、パティシエとしてお菓子を作ってきた私からすると、チーズケーキの面白さは「チーズそのもの」だけではありません。

チーズのコク。

砂糖の甘さ。

卵の働き。

乳製品のまろやかさ。

そして焼く、冷やすといった製法。

それぞれの要素を組み合わせて、一つの味と食感を作っています。

だから、チーズケーキを食べるときには、「チーズがおいしい」と感じるだけでも十分ですが、

「この濃厚さは、どの材料から来ているのだろう?」

「この酸味はチーズ?それともフルーツ?」

「この食感は、焼いたから?冷やしたから?」

と考えてみると、さらに面白くなります。

チーズは、お菓子になると別の顔を見せる

チーズは、料理にも使われます。

そのまま食べることもあります。

そして、洋菓子にもなります。

同じ食材なのに、組み合わせる材料や作り方によって、これほど表情が変わるのです。

これこそ、食材を知る面白さではないでしょうか。

「チーズはしょっぱいもの」というイメージだけでは、チーズの可能性の半分しか見えていないのかもしれません。

チーズケーキをきっかけにチーズを見ると、洋菓子が単なる「甘い食べ物」ではなく、食材の性質を組み合わせて作られたものだということが見えてきます。

まとめ

チーズが洋菓子になるのは、チーズのコクや酸味、風味などを、砂糖乳製品などと組み合わせることで、お菓子として新しい味わいを作ることができるからです。

ベイクド、レア、スフレなど、チーズケーキにもさまざまな種類があります。

同じチーズを使っていても、材料の配合や製法によって、食感や風味は大きく変わります。

そして、パティシエは「どの材料を使うか」だけでなく、「材料同士をどう組み合わせるか」まで考えてお菓子を作っています。

次にチーズケーキを食べるときは、少しだけ考えてみてください。

「このチーズ、ケーキの中でどんな仕事をしているんだろう?」

そう考えると、いつものチーズケーキが、少し奥深く感じられるかもしれません。

参考文献・参考資料

・文部科学省「食品成分データベース」
食品成分データベース

・農林水産省「チーズ」関連資料
農林水産省

・一般社団法人 日本乳業協会「チーズ」関連情報
日本乳業協会

タイトルとURLをコピーしました