小麦粉とは?洋菓子に欠かせない理由を栄養と製菓の視点から考える

食材と栄養

ケーキ、クッキー、タルト、シュー、パイなど、私たちが楽しんでいる洋菓子には、さまざまな材料が使われています。

その中でも、多くの洋菓子に関わっているのが「小麦粉」です。

小麦粉は、単に生地を作るための材料ではありません。小麦粉に含まれる成分が、生地の性質や焼き上がりの食感にも関係しています。

では、小麦粉にはどのような栄養があり、なぜパティシエは小麦粉を使い分けるのでしょうか。

今回は、小麦粉を「栄養」と「製菓」の2つの視点から見ていきます。

小麦粉とは?

小麦粉は、小麦の粒を製粉して作られる食品です。

小麦の種類や製粉方法などによって特徴が異なり、用途に合わせてさまざまな種類があります。

家庭でもよく使われるのが「薄力粉」「中力粉」「強力粉」です。

この違いを考えるうえで重要なのが、小麦粉に含まれるたんぱく質と、その性質です。

グルテニンとグリアジンがグルテンを作る

小麦粉に水を加えてこねると、小麦に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」というたんぱく質が水和し、こねるなどの力が加わることで相互作用して、網目状の「グルテン」を形成します。

グルテンは、生地に弾力や粘りなどの性質を与えます。

この働きがあるからこそ、小麦粉は水分などと組み合わせることで、さまざまな生地を作ることができます。

例えば、パンでは生地の構造を支える重要な要素になります。

一方、洋菓子では、グルテンをどの程度形成させるかが、仕上がりの食感に関係します。

そのため、パティシエにとって「小麦粉をどう扱うか」は非常に重要です。

薄力粉と強力粉は何が違う?

では、薄力粉と強力粉は何が違うのでしょうか。

大きな違いの一つが、たんぱく質の含量とグルテンの性質です。

文部科学省の食品成分データベースでは、小麦粉は、たんぱく質含量が比較的少なくグルテンの性質が弱い薄力粉、たんぱく質含量が高くグルテンの性質が強い強力粉、その中間にあたる中力粉に大別されています。薄力粉は製菓用、強力粉は製パン用、中力粉は製めん用に適するとされています。

そのため、一般的な洋菓子では薄力粉がよく使われます。

ケーキでは軽くふんわりした食感、クッキーではサクッとした食感、タルトではほろっとした食感など、作りたいお菓子に合わせて小麦粉の性質を考えます。

ただし、仕上がりは小麦粉の種類だけで決まるわけではありません。

材料の配合、水分量、混ぜ方、焼成条件など、さまざまな要素が関係します。

ここに製菓の奥深さがあります。

小麦粉にはどんな栄養がある?

小麦粉には、主に炭水化物が含まれています。また、たんぱく質も含まれています。

文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」によると、薄力粉1等は100gあたり349kcal、たんぱく質8.3g、炭水化物74.3gです。強力粉1等では100gあたり337kcal、たんぱく質11.8g、炭水化物72.1gとなっています。

このように、同じ小麦粉でも種類によって栄養成分には違いがあります。

また、小麦粉には食物繊維やビタミン、ミネラルなども含まれていますが、製粉の程度や種類によっても成分は異なります。

そのため、「小麦粉は栄養がある・ない」と単純に考えるのではなく、どの種類を、どのような食品として食べるのかを見ることが大切です。

パティシエは小麦粉をどう見ている?

パティシエにとって、小麦粉は「栄養成分表だけでは語れない材料」でもあります。

同じ小麦粉でも、作るお菓子によって求められる性質が違うからです。

スポンジ生地なら、できるだけ軽くふんわり仕上げたい。

クッキーなら、サクッとした食感にしたい。

タルトなら、ほろっと崩れるような食感にしたい。

そのため、材料の配合だけでなく、小麦粉の種類や混ぜ方なども考えながら生地を作ります。

私自身、23年間パティシエとして製菓に携わってきましたが、小麦粉は「レシピに書いてあるから入れる材料」ではなく、完成したお菓子の食感を作るための重要な材料だと感じています。

同じ小麦粉でも、扱い方によって生地の状態や焼き上がりが変わる。

小麦粉は、製菓の基本と奥深さの両方を感じられる材料の一つです。

小麦粉を使ったお菓子は「小麦粉だけ」で考えない

ここで、栄養の視点に戻ってみましょう。

例えば、スポンジケーキには小麦粉だけでなく、卵や砂糖なども使われます。

タルトなら、小麦粉にバターや砂糖などが加わります。

クッキーも、使用する材料によって栄養成分は変わります。

つまり、「小麦粉を使っているから健康に良い・悪い」と単純に判断することはできません。

お菓子全体を一つの食品として考えることが大切です。

さらに、食生活全体のバランスや、食べる量、頻度なども考える必要があります。

お菓子を「食べてはいけないもの」と考えるのではなく、どのような材料から作られているのかを知る。

そのうえで、自分の食生活の中で楽しむ。

これが、Lumiaが大切にしたい考え方です。

小麦粉を知ると、お菓子の見方が変わる

普段何気なく食べているケーキやクッキーも、小麦粉の働きを知ると少し違って見えてきます。

なぜスポンジケーキはふんわりしているのか。

なぜクッキーはサクサクしているのか。

なぜタルトはほろっと崩れるのか。

その背景には、小麦粉の性質だけでなく、卵やバター、砂糖、水分、混ぜ方、焼き方など、さまざまな要素があります。

洋菓子は、複数の材料が組み合わさって一つのお菓子になります。

だからこそ、その材料を一つずつ知っていくと、お菓子そのものをもっと深く楽しめるようになります。

小麦粉は、洋菓子を「栄養」と「製菓」の両方から考えるための、最初の食材としてぴったりの材料なのです。

まとめ

小麦粉は、洋菓子の生地を作るだけでなく、生地の性質や食感にも関わる重要な製菓材料です。

小麦粉に含まれるグルテニンとグリアジンは、水和してこねるなどの力が加わることで相互作用し、グルテンを形成します。

また、小麦粉には主に炭水化物やたんぱく質が含まれていますが、実際のお菓子の栄養を考えるときには、小麦粉だけでなく卵や乳製品、砂糖などを含めた「お菓子全体」で見ることが大切です。

「小麦粉は何のために使われているのだろう?」

そんな疑問を持ってお菓子を見ると、いつものケーキやクッキーが少し違って見えてくるかもしれません。

Lumiaではこれからも、洋菓子に使われる身近な食材を一つずつ取り上げながら、栄養と製菓の両方の視点から、その魅力を考えていきます。

参考文献

・文部科学省「食品成分データベース|小麦粉(薄力粉・強力粉など)」
文部科学省「食品成分データベース」

・文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年|小麦粉」
小麦粉の成分・食品情報

・文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年|薄力粉」
薄力粉の食品成分情報

・文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年|強力粉」
強力粉の食品成分情報

・J-STAGE「調理科学 Vol.22 No.2|小麦粉とグルテンに関する解説」
J-STAGE掲載資料

・J-STAGE「クッキーの咀嚼・嚥下特性に与えるグルテン構成たんぱく質組成の影響」
食品科学研究論文

タイトルとURLをコピーしました