クッキーは、洋菓子の中でも身近な焼き菓子です。
材料や製法は比較的シンプルですが、だからこそ、つくり手の考え方が仕上がりに表れやすいお菓子だと思います。
バターの香りを生かしたサブレ、ナッツの風味が広がるクッキー、ほろほろと崩れる食感のもの。少し配合や製法を変えるだけでも、味わいや口どけは大きく変わります。
では、クッキーの商品開発では何を大切にすればよいのでしょうか。
私が重要だと考えるのは、ひとつの商品のおいしさだけでなく、商品全体のバリエーションを設計することです。
例えば、クッキー缶を考えてみます。
バターの風味が豊かなクッキーばかりを詰め合わせても、ひとつひとつはおいしいかもしれません。しかし、食べ進めるうちに味わいが似ていると感じることもあります。
そこで、ナッツの香ばしさを加えたり、カカオの苦味を取り入れたり、塩味のあるクッキーを組み合わせたりすることで、食べる楽しさに変化が生まれます。
大切なのは、種類を増やすことではありません。
甘味、苦味、塩味、香ばしさ。さらに、サクサク、ほろほろ、ザクザクといった食感。それぞれの個性を理解し、全体として調和するように組み立てることです。
もちろん、商品開発では味だけを考えればよいわけではありません。焼成条件や保存性、製造工程、仕込みの効率なども考える必要があります。特に複数の商品を展開する場合は、品質を安定させながら製造できるかどうかも重要です。
クッキーはシンプルなお菓子ですが、商品として完成させるまでには多くの判断があります。
そんなクッキーの奥深さを考えるきっかけになるのが、柴田書店の『cafe-sweets vol.233』です。
特集は「フール・セック研究」。クッキーを中心に、和素材を使ったものや塩味系、アメリカンタイプなど、多彩な焼き菓子の世界を取り上げています。
新しいレシピを探すだけでなく、なぜその素材を選び、どのような味や食感を目指しているのか。そんな視点で読んでみると、日々のお菓子づくりにも新しい発見があるかもしれません。
クッキーは、シンプルだからこそ奥が深い。
次に焼き菓子を考えるときは、ひとつの味を追求するだけでなく、誰かに選ぶ楽しさを届ける商品構成についても考えてみたいと思います。

